- 成人膠芽腫の診断の項でも記載しましたが、もともと高齢者に多く発生します。
- 40-50歳台の成人同様、摘出度が上がるたびに生存期間は延長しますが、その期間は半分くらいと依然として予後の悪いものです。
- また、40-50歳台の成人の患者さんと比べて総じてテモダール併用放射線治療の恩恵が少ないのも特徴と言えます。
- ただし、65-70歳以上の高齢者の患者さんに対する放射線治療の効果は立証されています。
放射線治療とテモダール
高齢者では短期間(1週間もしくは3週間)の放射線治療でも効果は変わらない!
- 膠芽腫の標準治療であるテモダールという抗がん剤を併用して(75mg/m2/日)放射線治療(60Gy/30分割で6週間)に対して、治療期間を縮めた40Gy/15分割(3週間)で比べた臨床研究が2004年に報告されていますが、その結果はどちらの治療で行っても生存期間は変わらないという結論でした。同じ治療結果で、治療期間が短くて済むのであればそちらが選択肢になるということになります。
- さらに、その後25Gyを5分割して1週間で治療を終える短期間放射線治療との比較もなされていて、どちらも生存期間は変わらないという結果が出ています。
- また、2012年に海外から60歳以上の初発の膠芽腫の患者さんに対するおおきな臨床研究が報告されました。
①34Gyの放射線照射と60Gyの照射、さらにテモダール単独という3つの治療法を60歳以上の患者さんで検討した結果、34Gy照射=テモダール単独>60Gy照射という結果でした。
②60Gyの通常照射とdose dense(投与間隔を狭める方法)テモダール段得治療とを比べた結果、いずれに治療においても生存に有意な差は認められませんでした。
摘出術後のテモダール単独治療は是か非か?
- 上に記載した二つの臨床試験はテモダールの恩恵のあるといわれているMGMTメチレーションがある患者さんでは選択肢になりることを示唆していますが、試験の内容を吟味すると現段階では?と言わざるを得ません。
- Maimstrom A et al. 2012
- Wick et al. 2012
- Roa W et al. 2004