• 2016年にアップデートされたDiffuse midline gliomaと呼ばれる腫瘍の多くがこの腫瘍になります。
  • 脳幹のに発生する悪性で予後のとても悪い小児の脳腫瘍です。
  • 小児、特に5歳から9歳に多くみられる腫瘍です。
  • ヒストンH3の遺伝子変異80%くらいにみられます。
  • 組織診断が行われた場合には繊維性星細胞腫や退形成性、膠芽腫像まで様々な像を呈します。

症状

  • 眼球運動障害顔面麻痺などの脳神経症状がみられます。
  • 失調性歩行といって、歩くときにふらつく症状
  • 転倒するなどの運動麻痺、これらが三徴になります。
  • 症状は3ヶ月の間に進行がみられるものが多くみられますが、早いものでは数週間で進行される場合もあります。

診断

  • T2強調画像といったMRI撮像法にて橋という部位に白く霞んだような像が特徴です。
  • 最初のうち、多くはガドリニウムMRIでは造影されませんが、進行に伴い造影されるようになっていきます。
  • 内部には核となる場所があり、病状の進行に伴い造影されるようになってくる場合があります。

上の写真は水頭症で来られた5歳の女の子のMRI面像です。ふらつきと目の動きがおかしいという症状で来られました。MRI撮像法のT2強調画像という撮影法になりますが、少し右側よりに濃淡のついた部分がみられます。造影を行うと、リング状に造影がみられ、組織では膠芽腫を疑わせる所見です。他の部位も白いところがみられています。

治療

  • この腫瘍を見た場合、多くは画像のみで診断ができますので、手術の必要はありません
  • 放射線治療で多くの場合は症状が一時的に軽減していきます。
  • 放射線治療は一日1.8~2.0Gy (グレイ;放射線治療の単位です)を毎日、計54Gy前後で治療を行います。
  • 6週間以上かけて毎日1Gyずつを照射して行われる多分割照hyperfractionationで計70Gyを照射するという方法も行われましたが、有効性は証明されずむしろ副作用がみられる結果となったため現在では使用されません。
  • 一方で、3週間弱で治療される少分割照射hypofractionation(一日3Gyずつの照射で計39Gyを照射するやり方)では、少しずつ有効とされるデータが積みあがってきていますので、考慮してもよいかもしれません。

化学療法

  • 2018年初頭の現時点まで、びまん性橋膠腫に対して有効とされる抗がん剤治療はみられていません
  • 1980年代に大きな臨床試験がなされ、抗がん剤治療の有効性が示唆されたため、その後に色々な抗がん剤(通常のものから、大量の抗がん剤治療、放射線治療を増感させるもの、など)が試されましたが、今だ有効性を証明できているものは認められていないのが現状となっています。