• 小児脳幹グリオーマの中では5%といわれています。
  • 小児、特に3歳~16歳に多くみられます。
  • 脳幹にできるもののうち、特に中脳の視蓋というところにできて緩徐に増大する良性の腫瘍です。
  • 中脳水道を閉塞して水頭症(頭の中で髄液の流れが悪くなって髄液が溜まる)で発症します。
  • 多くは良性で毛様細胞性星細胞腫でグレード1の腫瘍ですが、星細胞腫や稀に悪性のグリオーマもみられます。
  • 最初から腫瘍が大きいからといって、その後に大きくなるかといえばそうではありません。

症状

  • 多くは持続する頭痛嘔気で発症します。
  • 目の動きが悪くなる視力低下なども大事な症状です
  • ふらつきよく転ぶようになるといった症状も見られます。

診断

  • T2強調画像というMRI撮像法で多くは白くうつります。
  • MRIのガドリニウム造影で造影されるものは5人に1人程度で、のう胞(水がたまっているようにうつるもの)は10人に1人程度です

上の写真は水頭症で来られた6歳の男の子のMRI面像です。真ん中に白く霞がかかっているように見える部位が腫瘍です。脳室が拡大していて、水頭症を起こしていることがわかります。

治療

  • 画像で診断が疑われれば、通常は内視鏡を用いて前頭部に少しの切開で脳室の中に入り、第3脳室底開窓術を行い、髄液(脳の水)の流れのバイパスを作ります。また、その際に一緒に生検(ちょっと組織をとって確認する)手術が行われることもあります。

化学療法

  • この腫瘍の多くの性格がもともと”Indolent(怠惰)”なため、診断がついたからといってすぐに化学療法が必要となるわけではありません。
  • 多くは画像や経過、組織診断から判断がされます。
  • この疾患で化学療法が使われる場合には組織に準じた化学療法を用います。