福岡県筑後市の脳神経外科・小児脳神経外科・リハビリ科の寺崎脳神経外科です。
最近、外来で患者さんから「おじいちゃんがアルツハイマー型認知症なんですけれども、私も将来そうなりますか?」と質問される機会が増えてきました。皆さん、将来の不安もあったりされるのだなあと思い、少し調べてみました。
今回は親族内に認知症の方がおられた場合にどれくらい認知症になるリスクがあるのか?に関するお話しです。
Relative risk for Alzheimer disease based on complete family history.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30867271
今年の3月に報告されたこの論文は、1800年代のユタ州の開拓者の系図を含む住民データベースを解析した結果となっています。
この論文では、
第一度近親者(親や兄弟)にアルツハイマー病患者が1人以上いると、自身もこの疾患を発症するリスクが1.7倍であることが分かり、第1近親者に患者が2人以上いる場合には、このリスクは約4倍に増大、4人以上の場合は14倍にも上ることが報告されました。
また、第一度近親者と第二度近親者(おじ、おば、おい、めい、祖父、祖母、孫)のいずれにもアルツハイマー病患者がいると、自身の発症リスクは2倍であり、さらに、第一度近親者に1人、第二度近親者に2人の罹患者がいる場合は、自身の発症リスクは21倍にまで上昇することも明らかとなりました。
第一度近親者にアルツハイマー病患者がいなくても、第二度近親者に2人以上の患者がいると発症リスクは1.25倍であり、曽祖父母や大叔父、大叔母といった第三度近親者に2人以上の患者がいる場合でも、このリスクは1.17倍であることが示され、また、遠い親戚に患者が多ければ多いほど、自身のリスクも高まるという結果となっていました。
総じて、近親者にアルツハイマー病に罹ってある方がおられる場合、ご自身が認知症となるリスクも増加する、という結果でした。
このように、認知症には家族歴がリスク因子であることがわかっています。たしかに家族歴は変えられるものではありません。ただ、アルツハイマー病には修正可能なリスク因子があることがわかっています。発症リスクを抑えるためには、知的な刺激による脳の活性化や定期的な運動、健康的な食事を心掛けるようにしましょう。体調には十分注意をしてよい休日を過ごしてくださいね^^
よろしくお願いします。
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