福岡県筑後市の脳神経外科・小児脳神経外科・リハビリ科の寺崎脳神経外科です。
6月ももうすぐ終わり。これから梅雨にはいり、本格的な夏が訪れます。皆さん、お元気におすごしでしょうか?
今回は脳卒中を一度起こされた患者さんはどの程度の血圧が望ましいのか?に関するお話しです。これまで、脳卒中後にどの程度の降圧が望ましいのかには一定の見解がありませんでした。
2006年に報告されたPROGRESSという試験では「低いほど再発リスクが減る」とされていましたが、
Lower target blood pressures are safe and effective for the prevention of recurrent stroke: the PROGRESS trial.
今回、日本で行われたRESPECT試験において、「積極」降圧の有用性が示されました。
脳卒中発症後30日~3年が経過し、血圧が「130~180/80~110mmHg」だった1,280例を対象に「140/90mmHg未満」を降圧目標とする「通常」降圧群(630例)と、「120/80mmHg未満」とする「積極」降圧群(633例)にランダム化され、非盲検下で平均3.9年間追跡されました(心筋梗塞既往例、慢性腎臓病例、糖尿病例は「通常」群でも降圧目標は130/80mmHg未満)。
メタ解析で積極降圧で脳卒中再発率の低下が示されました!!
結果、1次評価項目である「脳卒中再発」は、通常群の2.26%/年に対し、積極群では1.65%/年と低値になりましたが、有意差はなく(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.49~1.11)、脳出血のみで比較すると、通常群(0.46%/年)に比べ、積極群(0.04%/年)でリスクは有意に低下するという結果がえられています(HR:0.09、95%CI:0.01~0.70)。
この結果を踏まえ、すでに公表されている、脳卒中発症後の通常降圧と積極降圧を比較した3つのランダム化試験(SPS3、PAST-BP、PODCAST)とRESPECTを併せてメタ解析した(4,895例中636例で再発)。すると積極降圧群における、脳卒中再発リスクの有意な低下が認められました(HR:0.78、95%CI:0.64~0.96)。
RESPECT以外の上記3試験では積極降圧群の収縮期血圧目標値が「125~130mmHg未満」だったため、エビデンスは脳卒中後の降圧目標として「130/80mmHg未満」を支持していると結論されています。
外来で結構きつめに降圧の指導をしていますが、脳卒中再発に大事なことですので減塩はしっかり行いましょうね(^.^)
よろしくお願いします。
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