脳は基本的な構造としていくつかのパートに分かれますが、主なものとしてそれぞれ前頭葉は運動や言語、頭頂葉は感覚や認知、側頭葉は記憶や聴覚、後頭葉は視覚、小脳は協調運動、脳幹には脳神経の核などの働きをそれぞれに持っています。
こういった脳がいつごろできあがってくるのかですが、大事なことは脳も成長するということです。生まれたばかりの赤ん坊が大人になるのと同じで、脳も赤ちゃんの時期から学童期の時期など一定の時期まで成長を続けています。
まず、まだお母さんのお腹の中にいる3週目頃、脳も赤ちゃんの時期を迎えます。34周ごろまでは脳の発育や成長に必要な細胞が出来上がってくる時期です。この時期に神経細胞(ニューロン)ができなければ、それから以降の成長をつづけていくことはできませんし、そのニューロンを支える細胞もこの時期に成長してきます。赤ちゃんが乳児になっていくこの時期にネットワークの大枠ができてくることになります。
脳の乳児期はお腹の中にいる8週~生後2歳ごろまでです。このころの神経回路はまだ未熟で、この段階までは遺伝子情報で組み込まれたプログラムをもとに作られます。
脳の学童期はお腹の中にいる16週~10歳まで続きますが、このころには環境依存で脳の再構成が進みます。
こうやって続く脳のネットワーク成長は6歳までに9割が完成するといわれていますが、10歳までに必要な機能の剪定が行われていきます。この剪定は特に楽器を弾いたり、第二言語を覚えたり、また痛みを覚えたりといった活動や経験に依存するものもありますが、運動機能や視機能など、剪定に特定の時期があるものも存在しています。
例えば、言葉は12歳ごろまでですし、外国語の習得などはいつ始めたかというよりもどれだけ長く続けたかが重要だといわれています。
このように脳は10歳ほどでほとんど完成に近いものとなりますが、以降、20歳ごろまでに少しずつ発達が衰えていきます。こどもに集中力がない、やり遂げる力がない、問題解決力が足らないなどの知的機能に心配なかたもいると思いますが、脳の発達には時期、また環境や経験による剪定があるため個人差が大きいのです。
そこで教育やしつけにこれらをどういかしていくのかということを考える必要があります。