- サルコイドーシスは全身性に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を形成する原因不明の疾患です。
- 神経サルコイドーシスは全サルコイドーシスの5%と稀な病態です。
- CD4+リンパ球および慢性炎症で主体をなす単球・マクロファージ(単核貪食細胞)から放出されたサイトカインによって形成される肉芽腫性変化と考えられています。
- 脳神経や髄膜(脳を覆う膜)、ホルモン・自律神経系にかかわる視床下部・下垂体など、さまざまな部位をおかします。
症状
- 発熱、倦怠感
- 頭痛、嘔吐
- 脳神経症状としては顔面神経麻痺が最も多くみられます。
- また、けいれん発作は5-20%に認められます。
診断
- MRI検査が必要となります。
- 髄液採取(腰椎のことろから細い針を穿刺して、髄液を少し採取する)や感染や外傷の既往があるか、他のがんが全身にないかなどを調べる必要があります。
- 髄液では蛋白濃度が上がり、単核球の増加がみられます。
- オリゴクロナールバンド
- IgG、cACE(アンギオテンシンI転換酵素)
- CD4+T細胞 などを調べます
髄膜播種性神経サルコイドーシス
69歳の女性で肺サルコイドーシスで経過を見られていた患者さんです。肺サルコイドーシスでは、自然寛解する症例もあるため、ぶどう膜炎や心臓や中枢および末梢神経系など重要臓器
病変による障害がなければ無治療で経過観察を行うことが多いものです。
物忘れと性格変化で受診されました。造影のMRI画像では左の前頭葉を占拠する大きな腫瘍性の病変が確認されますが、軟膜という脳を覆う膜に沿っても造影されているのが確認できます(黄色矢印)
この患者さんで髄液の検査を行ったところCD4/8比が2.17(通常は2未満)、髄液中のACE 2.0IU/lと上昇が認められていした。
治療
- 第1選択薬はステロイドとなります。
- 通常,プレドニゾロン(PSL)を 40~80mg日を 4~8 週間投与し,以後,症状をみながら原則 4 週内に漸減していきます。
- ステロイド療法で効果不十分な場合や中等度・進行例では、第2選択薬として,免疫抑制薬(メトトレキサート、シクロスポリン、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、ヒドロキシクロロキンクロロキンなど)を併用して治療します。
- 放射線治療はよほどの明確な理由がなければ使用しません。
上の患者さんにPSLを60mgで3週間投与した際のMRI画像です。以前に認められていた前頭葉の病変もですが、軟膜に波及していた病変も消退していることが確認できます。