- 悪性神経膠腫(悪性グリオーマ)で用いられる制がん剤です。
- 膠芽腫、退形成性星細胞腫で用いられます。
- 膠芽腫では2005年にStuppらが報告した結果(ストゥップレジメン)をもとに標準治療として用いられています。
- 放射線治療期間中、1日に体表面積あたり75mg (75mg/m2/d)を使います。
- それが終わると維持療法といって28日(4週間)に5日間だけ飲む方法へ移行します。1日に体表面積あたり100から200mg (100-200mg/m2/d)を用います。
- 2018年からは後発品が出ましたので、これまで高価でしたが薬価が4割でいいようになりました。
飲み方や排せつ
- 生理的なpHが酸性の条件下で分解されます。
- 空腹時では胃の中が酸性になっていますので、空腹時に服用しなければいけません。
- 経口服用すると、酸性の条件下で完全吸収され、1時間後に血中の濃度がピークに達します。
- 食後に服用してしまうと、血中濃度は1/3まで低下します。
- 血液からの排せつ半減期は1.8時間です。
偽性増大
- pseuo-progression(スードプログレッション)といいます。
- 放射線治療とテモダール併用した場合におこることが知られています。
- 治療開始から3ヶ月くらいの間に約2-3割の患者さんにおこります。
- この間はステロイドや場合によってはアバスチンを用いながら経過を見ていきます。
上の写真は頭痛で来られた50代の女性の患者さんのMRI面像です。左の画像は初診時のものですが、生検といってちょっと組織をとる手術で診断を行い、悪性神経膠腫の診断で放射線治療+テモダールの治療をおこないました。MRI撮像法のガドリニウム造影という撮影法になりますが、右の画像は治療終了時点(2か月後)のMRI画像になります。以前のものと違い、腫瘍が大きくなって、周りも腫れていることがわかります。偽性増大と診断し、根気強くステロイドのみで経過を見ていきました。
上のMRI画像は左から、その2か月後、4か月後、6か月後、のものになります。
腫瘍が徐々に小さくなっていくのがわかります。
副作用
- 副作用で主なものは骨髄抑制(白血球や血小板の減少)、悪心(約4割)、便秘(約2-4割)、倦怠感(約4割)などです
- 特にリンパ球(体をウイルスから守ってくれている細胞)減少は50%強とわりと頻度が高くなっています。
- 骨髄抑制が強い場合には、間質性肺炎やニューモシスティス・イロヴェチ肺炎という重篤な感染症が生じることがありますので、予防的なお薬が必要となります。
- B型肝炎ウィルスにかかってある患者さん(不顕性感染者とB型肝炎の後で治った人)では,B型肝炎が悪化(再燃)して重症化することがありますので、予防するためにバラクルード(核酸系逆転写酵素阻害薬エンテカビル)を飲んで治療を行います。