• 松果体というところにできるのう胞(水のたまった袋)です
  • 松果体はメラトニンという体内時計を調節するホルモンを分泌している脳の真ん中にある小さな組織です
  • 松果体のう胞は、偶然に頭の検査をした方の10%前後にみられる比較的多くみられる腫瘍です。
  • ほとんどは症状をださないものです。
  • ものすごく稀に、頭痛や水頭症(水の通り道を閉塞するためにおこるもの)、上を向いた際に複視(物がダブって見える症状)などがみられます。
  • 治療は症状を出すようになってから始めます。
  • 症状がでてしまい、どうしても治療が必要な場合にだけ通常は手術でのう胞の壁をプツンを破いて、周りとの交通をつければ終わります。

症状

  • ほとんどが無症状で症状をだしません。
  • 大きいものの場合、頭痛や水頭症からくる頭蓋内圧亢進症状(頭痛、吐き気) がみられることがあります。
  • 稀ですが、上を向いた際に物がダブって見える症状がでることもあります。
  • これも稀ですが、歩くときのふらつき、睡眠障害やホルモン障害からくる思春期早発症や二次性のパーキンソン症状を呈することもあります。

診断

  • 画像検査:腫瘍のある場所や大きさを検査します。松果体細胞腫と間違えられることもありますが、見なれていればMRI検査で比較的簡単に判断ができます。

治療

  • のう胞のサイズや症状がでているかどうか、で判断しますが、ほとんどは治療を必要としないものです。
  • 手術が必要となった場合、のう胞の壁を破くことで周囲との交通ができてしまえば終わりです。
  • 開頭してする必要は最初の段階ではなく、通常は神経内視鏡を用いて小さな切開からのう胞の壁を破きます。

予後

  • ほとんどの松果体のう胞は症状を出すこともなく、また症状を出すまでに大きくなることもないような、とても良性の経過をたどる疾患です。
  • 1986年と1996年に松果体のう胞による突然死の報告がでていますが、極めてまれだといえます。

文献

1:Fakhran S, Escott EJ. Pineocytoma mimicking a pineal cyst on imaging: true diagnostic dilemma or a case of incomplete imaging?. American Journal of Neuroradiology. 2008; 29:159-163.

2:Choy W, Kim W, Spasic M, Voth B, Yew A, Yang I. Pineal cyst: a review of clinical and radiological features. Neurosurg Clin N Am. July, 2011; 22(3):341-351.

3:Bosnjak J, Budisic M, Azman D, Strineka M, Crnjakovic M, Demarin V. Pineal gland cysts–an overview. Acta Clin Croat. September 2009; 48(3):355-358.

4:Moschovi M and Chrousos GP. Pineal gland masses. UpToDate. Waltham, MA: UpToDate; July 28, 2016