• 小児脳腫瘍の中では5~10%とされていますが、子どものトルコ鞍部腫瘍の中では55%と比較的多い良性腫瘍です。
  • 頭蓋咽頭菅と腺下垂体の扁平上皮細胞から発生します。
  • 小児(特に5歳~14歳)と割に高齢の成人にも発生します。
  • 治療は手術が第一選択となりますが、腫瘍の特性、周辺の神経組織から難しい手術といえます。

症状

  • 視神経や視床下部、下垂体茎が周辺にあるためそれらの症状、もしくは腫瘍によって脳に水が溜まる(水頭症)による症状を呈します。
  • 目が見えずらくなるよく物にぶつかるようになったり
  • 身長がなかなか伸びない
  • おしっこがたくさん出てよくのどが渇く
  • 元気がなく、疲れやすい
  • 頭痛や嘔吐 など

診断

  • 眼科を受診いただいて、視力視野の検査が必要になります。
  • 血液検査では、ホルモン検査を行います。
  • MRI検査では、ガドリニウム造影検査を行い、腫瘍の進展や大きさを判断します。また、CISSという特殊な撮影法を行うことで、腫瘍がトルコ鞍の中にとどまっているのか、その上に及んでいるのかが詳細に判断できる様になります。

上の写真は視力低下で来られた5歳の男の子のMRI面像です。左のMRI画像は矢状断になりますが、腫瘍の中にのう胞成分があるのがわかります。右の画像はCISS画像になります。視神経を下から押していますが、典型的な鞍隔膜下頭蓋咽頭腫だとわかります。この子は下垂体機能もまだ残っていて,尿崩症はありませんでしたので、経鼻的な手術で摘出を行いました。

治療

  • 治療は手術による摘出が第一選択になります。
  • 経鼻的に摘出するか、開頭して摘出するかは、腫瘍がトルコ鞍内にとどまっているか(鞍隔膜下)、そうでないかで判断されます。
  • 残存してしまうと再発しますので、腫瘍のできている場所の判断がとても大事になります。
  • また、手術後に下垂体や視床下部障害からホルモン障害がでますので、手術後の管理はとても重要になります。

放射線治療

  • どうしても摘出ができなかった場合に考慮されます。
  • 放射線治療には外照射定位分割照射定位照射線外科などが用いられます。
  • 照射には1か月ほどかけて分割して照射も行われますが、54Gyの線量を下回ると再発がふえることが報告されています。
  • しかし、周辺に視床下部や下垂体にも照射が及べば認知機能やホルモン障害がでてくるため、腫瘍以外に照射があたらないような照射が必要となります。