- 小児脳腫瘍の中では4%、全ての脳腫瘍の中では1%といわれる比較的珍しい良性腫瘍です。
- 1930年にこの腫瘍が報告されました。
- 多くは30歳未満、特に10歳代前後にみられます。
- 側頭葉や前頭葉にみられることが多いです。
- もともとは一つの細胞からできるものですが、大きくなる段階においてグリア細胞を多く含む腫瘍になれば神経節膠腫、神経細胞を多く含む腫瘍であれば神経節細胞腫、と呼ばれます。
- 含まれるグリア細胞の多くは毛様細胞性星細胞腫ですが、時に星細胞腫や乏突起細胞腫が含まれることがあります。
- 腫瘍の本体は異形成をおこした神経細胞と腫瘍化したグリア細胞からなります。
- この腫瘍うち、稀に大きくなり、悪性となる性格のものがあります。
症状
- 大部分がてんかん発作で発症します。
- てんかん発作のうち、複雑部分発作が60%程度、全般化するものが30%程度です。
診断
- 充実な腫瘍としてみられるものが半数、また一部にのう胞(水が溜まっているようにみえるもの)成分に壁在結節(のう胞の壁に充実な腫瘍がみられるもの)をもつものが半数みられます。
- 内部に骨のようになっている”石灰化”を持つのは30~50%です。
上の写真はけいれんを主訴に来られた8歳の男の子のMRI面像です。一番左の画像はCT画像になりますが、左の前頭葉に境界が鮮明に丸く映っているのが腫瘍になります。白く映っている部分が石灰化です。真ん中の画像はMRI撮像法のT2強調画像という撮影法になります。一番右側のものはガドリニウムで造影を行ったものですが、内部が淡く造影されていることがわかります。一見すると、乏突起膠腫と鑑別が難しいものです。
治療
- てんかん原性(Epileptogenicity)の高い腫瘍ですので、手術での摘出が大切になります。
- 放射線治療は効果が期待できるものではありません。またいくつかの報告では悪性化の素因となることが報告されていますので、初回治療としては用いません。再発した場合や悪性になった場合に考慮されます。
化学療法
- 抗がん剤治療はニトロソウレア剤や白金製剤が用いられた報告もありますが、現在のところ科学的に有効なものは照明されておらずルーチンには用いません。