福岡県筑後市の脳神経外科・小児脳神経外科・リハビリ科の寺崎脳神経外科です。

2020年初頭から猛威を奮っている新型コロナウイルスですが、感染拡大やワクチンのことなど、患者さんから不安の声が多数聞かれるようになってきました。これから少しずつわかっていることを記載していこうと思います。今回は、症状なくPCR検査で陽性となられた患者さんに関する経過について論文が報告されましたのでご紹介したいと思います。

無症状であれば、感染力は落ちるものであるかを考える必要があります。症状がないからといって、軽傷なのでしょうか?

Clinical Course and Molecular Viral Shedding Among Asymptomatic and Symptomatic Patients With SARS-CoV-2 Infection in a Community Treatment Center in the Republic of Korea

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32780793/

JAMA Internal Medicineに2020年8月に掲載された論文で、韓国でSARS-CoV-2感染が認められ隔離された無症状または有症状の303例を対象とした後ろ向き研究を解析した結果となっています。

隔離時 隔離中の症状出現数とそれまでの期間 診断から初回PCR陰性となるまでの期間 診断から21日目にPCR陰性となった割合
無症状 110 例 (36.3%) 21 例 (19%)、15日 17日 75.2%
有症状 193 例 (63.7%) ———— 19.5日 69.9%

 

これらのことは、例え無症状であったとしてもPCR陰性となるまでの時間に差は無いということを示しています。さらに、特筆すべきは、無症状患者においてでも診断から退院までのウイルス量は、有症状患者(隔離中に発症した患者を含む)よりもゆっくり減少する傾向があったという点です。つまり、無症状であっても、他者への感染力に差は無い、ということです。症状がないからといって安易に外出はせず、不要不急な外出は控え、感染対策は行っていきましょう。

よろしくお願いします。

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