福岡県筑後市の脳神経外科・小児脳神経外科・リハビリ科の寺崎脳神経外科です。

2020年初頭から猛威を奮っている新型コロナウイルスですが、感染拡大やワクチンのことなど、患者さんから不安の声が多数聞かれるようになってきました。これから少しずつわかっていることを記載していこうと思います。今回は、発症してからどのくらいでウイルスが排出されていくのかについて論文が報告されましたのでご紹介したいと思います。

このことは、どのくらいで治療を開始する必要があるのかを知る上でとても重要なことになってきます。なぜ、この新型コロナウイルスでは抗ウイルス薬での治療が追いつかないのでしょうか？

A quantitative model used to compare within-host SARS-CoV-2, MERS-CoV, and SARS-CoV dynamics provides insights into the pathogenesis and treatment of SARS-CoV-2

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33750978/

PLOS Biologyに2021年3月に掲載された論文で、数理モデルを用いてこれまで知られているコロナウイルスである中東呼吸器症候群（MERS）および重症急性呼吸器症候群（SARS）と比較して、ウイルスの体の中での動態を解析した結果となっています。

この論文では、COVID-19におけるウイルス排出量のピーク到達日数が発症から平均2.0日程度であり、MERS（12.2日）やSARS（7.2日）であったのと比較しても、かなり早期にピークに達する、という結果でした。

（論文より抜粋）

これらのことは、熱や咳がではじめ、２−3日様子を見てから医療機関を受診してウイルスのPCRを行っているまでの間にすでにウイルスは相当数排出されていることを示しています。感染を拡大させないためには自覚症状を感じた段階ですでに隔離が必要であり、自宅内でもマスクを着用するといった、早い段階からの個々の感染予防とその意識がとても重要であることがわかります。特に、自覚症状の訴えを見逃しやすい小さなお子さんや高齢者では周りが注意をしてあげて早めに医療機関の受診をうながし、対応していくことが望まれます。未曾有の国難だからこそ、個人の感染防御に対する意識の重要性が問われています。辛い時間が続きますが、皆で情報を共有し乗り越えましょう。

よろしくお願いします。

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