福岡県筑後市の脳神経外科・小児脳神経外科・リハビリ科の寺崎脳神経外科です。

今年に入り、新型コロナウイルスが猛威をふるっています。このヒトコロナウイルスはこれまで類似のものが10年に一度流行しています。2002年にはSARS、2012年にはMERS（中東呼吸器症候群）が流行しましたが、これらも類似のものです。

通常、体内にウイルスが侵入すると、からだの免疫機能が働いてウイルスを殺そうとします。それら免疫機能の中に、T細胞（Tリンパ球）と呼ばれるものがありますが、この細胞は免疫機能において体内の異質な細胞を見つけて破壊する重要な役割を担っているものです。T細胞は、ウイルスに感染した細胞を補足し、穴をあけ、その膜に化学物質を注入してウイルスと細胞の両方を破壊します。このT細胞の働きのおかげで、私たちは体内からウイルスを除去することができるのです。

最近の研究では、新型コロナウイルスがこのT細胞の「免疫機能」を無効にする可能性が報告されています。

しかし、弱点も報告されています。英国サウサンプトン大学から出された報告ですが、ウイルスには対象の細胞とくっつくために「スパイク」と呼ばれるタンパク質を有していますが、それを免疫系に「自分は無害だ」と思わせる「グリカン」と呼ばれる糖のシールドを持っています。彼らの報告では、新型コロナウイルスが持つスパイクのシールドが、他のウイルスに比べて弱いことが見つかっています。

現在、60を超えるワクチン開発プロジェクトが動いていますが、その中でも米モデルナ・セラピューティクス社が最も早く開発に乗り出しています。同社は新型コロナウイルスの遺伝子配列が発表されてからわずか42日後に、臨床試験を開始できる新たなワクチンを開発したのです。それでも実用化にはもうしばらくの時間が必要となります。

それまでの間に私たちができること、それは公衆衛生上の勧告に従うこと。社会的距離を保ち、不要不急の外出を控え、手を洗い、顔を触らない。この感染症にかからないよう、できる限りの予防策を講じてください。

必ず打ち勝てると信じています。

よろしくお願いします。

■寺崎脳神経外科■
脳神経外科・小児脳神経外科・リハビリ科

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